◎ 躊躇い傷からの脂肪層
2日前、大爆発した。
割った鏡の破片で足を思い切り裂いた。
トウモロコシのような脂肪層が顔を出した。
久しぶり、脂肪層。会いたかったさ。
曲げ伸ばしするせいか、血が滲む。
ズボンに忽ち染みが出来る。
「お前のせいだ、お前のせいだ」
と電話越しの野郎を罵倒した。
もううんざりだ。
こんなトラブルばかり起こす自分に。
◎ 人間じゃないみたい
もうガーゼ貼るのも面倒くさいから、
今日から貼ってやらない。
傷はだいぶ良くなってきている。
何故こう、肉体は傷つけても傷つけても
治ろう治ろうとするのだろうか。
ホメオスタシスなど私には必要ないのだよ。
もういいぞ、治らなくて。
けれどいつの間にかケロッと治りやがる。
大きな痕は残れど戻るのだ。
心はどうだろうか。
心、なんてあまり使いたくない言葉だ。
自分の内面が如何に傷ついているかなど、
他人は興味ないんだからな。
見て分かるもの、それが全てだろう。
腫れはまだまだ引く様子はない。
デブがもっとデブに見える。
こんな醜い傷を残しているのだから、
まあこの際、自分の容姿などどうでも好いか。